【お彼岸には、ご先祖様への感謝を込めて】

blog_170913.jpg9月に入り、残暑はあるものの夏の日差しが少しずつ和らぎ始め、秋のお彼岸の時期が近づいてきました。お供え物の準備やお墓参りの日程など、考え始めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

お盆が年に1回に対し、お彼岸は年に2回あり、春のお彼岸は春分の日の前後3日間を含めた7日間、秋のお彼岸は秋分の日の前後3日を含めた7日間です。お彼岸の初日を彼岸入り、春分の日・秋分の日を中日、お彼岸の終日を彼岸明けと呼んでいます。

令和5年の秋のお彼岸時期は以下の通りです。


  • ・彼岸入り
  • 9月20日(水)

  • ・中日(秋分の日)
  • 9月23日(土・祝日)

  • ・彼岸明け
  • 9月26日(火)

そもそもお彼岸は、仏語であるサンスクリットの「波羅蜜多(パーラミター)」の訳語、「到彼岸(とうひがん)」が語源と言われています。「到彼岸」とは、その文字の通り彼岸へ到ると言う意味で、"煩悩と迷いの世界である現実世界の「此岸(しがん)」から、仏様の境地にたどり着くための六つの徳を積む修行、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」 により迷いから抜け出し、生死を超越した理想の世界・悟りの世界「彼岸(ひがん)」へ到達することができるとされています。

「此岸」は東に、「彼岸」は西にあることから、太陽が真東から昇り真西に沈む春分の日と秋分の日は、此岸と彼岸が最も通じやすくなると考えられています。この「此岸」と「彼岸」が最も近づく時に、先祖供養をするようになったのです。昼と夜の長さがほぼ同じになる日ですが、お彼岸にお墓参りに行く風習は、この太陽に関係しています。

お彼岸は他の仏教国にはない日本だけの行事です。お彼岸は「日願(ひがん)」とも書かれることから、太陽の神を信仰する神道と結びついたという説もあります。その説では、春のお彼岸が種まきの時期、秋のお彼岸が収穫の時期と関連し、ご先祖様への感謝と自然への感謝が結びついたとされています。


また、秋のお彼岸に供え物で作られる「おはぎ」は春のお彼岸に作られる「ぼたもち」と同じもので、 この名称の違いは、彼岸の頃に咲く春の「牡丹」と秋の「萩」に由来すると言われています。
お彼岸におはぎやぼたもちを食べる風習は、古来から赤色には魔除けの効果あるため、邪気を払いご先祖様の霊を慰めるとされています。また、農作業が始まる春のお彼岸にぼたもちを、収穫の時期である秋のお彼岸におはぎを作ることで神様に感謝を奉納していたという説もあります。

故人様が亡くなって四十九日後、初めて迎えるお彼岸を「初彼岸」と呼びますが、仏教とは関係はないため、特に儀式をすることはないようです。
こんな時も故人様やご先祖様を想う気持ちを持ち続けることは大切です。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、秋の彼岸は、それまでの残暑が和らぐ時季でお墓参りには最適です。普段、仕事などでお墓や仏壇にお参りができない方も、ご先祖様への感謝を込めて心穏やかにそっと手を合わせてみてはいかがでしょうか。


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