2人で食べたかったお雑煮

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長年、連れ添った夫婦には、"いつもの"がたくさんあると思います。たとえば、ご家族の誕生日やクリスマス、お正月など、その日が近づくと「そろそろ...」と慣れた手つきで準備をして過ごす ─ 何気ない習慣も、改めて振り返ると、かけがえのない幸せだったりするのではないでしょうか。

今回は、大晦日に奥様を亡くされた喪主様のお話です。お通夜は1月2日を予定していました。その前に、私たちアムールは喪主様である旦那様にお時間をつくって差し上げたいことがありました。

湯灌納棺を行い、お参りを済ませたあと、ご親族にそっとお声がけして「奥様と旦那様を2人きりにさせてほしい」と願い出たのはそのためです。そしてお雑煮を2つ、ご夫婦の分を用意させていただき、私たちも退室しました。きっかけは、ご安置の際の、旦那様のひと言です。ドライアイスを当てる前、奥様のお体に触れた旦那様が涙ながらにつぶやいた、「一緒に雑煮を食べたかった」─ これは旦那様だけでなく、ご夫婦お二人の願いだと感じました。

後日お届け物に伺った際、旦那様から「心のこもった葬儀をありがとう」とのお言葉をいただきました。ご夫婦の"いつもの"を叶えたい一心で行ったことが間違いではなかったと、葬祭ディレクター冥利に尽きた瞬間でした。


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